安兵衛との出逢い4

”FMしばた”から始まった新潟の旅はたくさんの出逢いをくれた。しかし、それは同時に別れの始まりでもあった。時代は平成の大合併の混沌にあり、加治川村も新発田市との吸収合併で地図からなくなることが決まっていた。笑顔を絶やさなかった人たちの涙は旅の歌い手の心にも大きな影響を与えた。

 それから数年が経ち、新発田の方々が泉岳寺へお参りに来るというので半ば意気揚揚と案内を引受けた。しかし、そこで見たのは墓前に跪き新発田の銘酒を墓石に溢しながら「安兵衛さん、遠くに来たんだねえ」と涙ぐむ新発田人の姿だった。同郷の涙とでも言うのだろうか。東京モンには得難い涙が酒の匂いとともに鼻を突いた。堀部安兵衛が旅流 草一郎の心に現れた瞬間だった。 安兵衛との出逢い5(製作中)